2011年3月

第60回
だいすきよっ


あなたは、お子さんに「好き」と言いますか。
抱っこして、ギューして、チューしてますか。
私はだいぶ嫌がられるようになったので、サロンの子どもにしています(笑)。

私は小さい頃、いえ、大きくなってもまだ、父にきらわれていると思いこんでいました。
なぜなら父は無口な人で、口を開くのは、私たち兄弟を叱る時だけだったからです。
「勉強しろ」
「部屋がきたない。片付けろ」
叱られるたび、怒鳴られるたび思いました。
「父さんは私がきらいなんだ。だから怒るんだ」って。
そして幼い私の目に、無口は「無視」に映りました。

「親にきらわれている」
この感覚は子どもの自信を奪います。
自分に一番近い大人、一番信頼している大人。
その人から否定されるのは、自分に価値がないからだと感じました。

そしてこの感覚は、子どもの気持ちを不安定にもします。
「今度はいつ怒られるだろう」
「いつ父さんの機嫌が悪くなるだろう」
そんなふうに、いつもびくびくしていました。
これ以上きらわれないよう、怒鳴られないよう、気を使って生活していました。 
   
けれど、きらわれているなんて私の誤解でした。
間違いだったと、ある日ようやく気がついたのです。
いつだと思いますか?

それは「嫁ぐ日」です。
花嫁支度を終え、白無垢で親族控え室に入ると、そこには父の姿がありました。
ちらりと私に目をやった父は、唇をかんで下を向きました。
それでも私と父の間に会話はありませんでした。
なぜならそれまで、「会話」というものをしたことがなかったからです。
その時、見かねた叔母がゆっくりと、ふくめるように言いました。

「あっこ、父さんはな、あなたのことが、かわいくて、かわいくて、仕方なかったんだ。
酒っこ飲めば、いっつも、話すのはあなたのこと。
『あっこがめんこい、あっこがめんこい』って、そればっかりだったよ」

そうだったの?
私は父から愛されていたの?
それならそうと言ってよ。
おばさんにじゃなくて、私に言ってよ。

もっと早く知りたかった。
子どものうちに知りたかった。
「父さんは私が好きなんだ」って、そう思いながら育ちたかった。
そしたら自信を持って生きられたのに。
父さんのことだって、好きになれたのに。

子どもが「自分は大切」だと「自分は重要」だと思えるためには「親から愛されている感覚」、これが必要です。絶対に。
それをどうやって子どもに伝えますか?
ギューするのもいい、チューするのもいい。
そしてもっと、いい方法があります。

それは「好き」と言葉で伝えること。
そのまま真っ直ぐ、本人に伝えることです。

シンプル イズ ベストです。
直球勝負で言ってみて!
「だいすきよっ」って!!