2012年11月

第80回
根拠のない自信


ふとしたご縁で出会った園長先生。
その言葉に身が震えた私。
「『何かできたからすごい』という『根拠のある自信』は弱いんです。
子どもたちには『立派な成果がなくたって、存在自体がすばらしい』、そんな『根拠のない自信』を持ってほしい」
では現場の保育士さんたちは、どのように「根拠のない自信」を持たせているのでしょう。
今回はそのレポートです。きっと子育てに参考になりますよ。

包み込む穏やかさ


「園の先生って元気でハイテンション。表現力もばっちり!」。そんな感じがしませんか?
ですがその園の先生たちは、動きも顔つきも落ち着いていました。
「おはよー!よく来たね!!」と大きな声を出しません。
ただ淡々と穏やかに、一人ひとりに声をかけます。
私にも「よくおいでくださいました」と、柔らかなまなざしを向けてくれました。
特別なことも、大げさでもないけれど、「大切にされている」、しみじみそんな感じがしました。

遊びを、強制も抑制もしない

「自主性に任せる」と言うのでしょうか。
遊びたくない子には「見ていていいよ」と、遊びたい子には「これ、使っていいよ」と。

どちらの気持ちも尊重し、ここでも必ず声をかけていました。
 途中、三輪車が逆さにひっくりかえっている場面に遭遇。
私は「倒れちゃったのかな」と直そうとして、すぐに手を引っこめました。
「ここは、かきごおりやさん」と、ペダルをかき氷機の取っ手にして回し始めたからです。
先生はだまって見ていました。
「すごいこと考えたね!」という過剰なほめも、「使い方が違うでしょ」とたしなめることもありません。
子どもは全てを認めてくれる人の前で、ゆったりと心行くまで遊んでいました。

役立ち体験

行った日は、ご近所のゴミ拾いの日でした。
年上の子が年下の子の手をつなぎ、道路を歩きます。
道の向こうへ渡る時には右見て左見て。靴が脱げたらはかせてやって。
「えい!」と看板にケンカを挑む3歳児を、5歳児が待っている場面も。
途中でゴミも拾います。お菓子の空き箱、たばこの吸い殻、ガムのつつみ紙。
「小さい子のめんどうをみた」「ゴミをひろった」
それはささいなことかもしれません。
けれど確かに「自分は役に立つ人間なんだ」、そんな自負が見て取られました。

私がその日、特に感じたのはこの3つです。
アップダウンの少ない態度と表情で、子どもを穏やかに包み込むこと。
大枠は決めるけれど、後は信頼して任せること。
小さな課題を達成させ、役立つ喜びを味あわせること。

活動全てを通じて感じたのは、先生たちの「肯定的な目」です。
「なんにもできない子」「わからない子」とは見ていません。
「大切な子」「すばらしい子」として見ているのです。
その目が、その気持ちが子どもに伝わり「根拠のない自信」を与えている。そう感じました。
 さあてあなたは、どれからまねしましょうか?