2013年2月

第83回
宝物は、あなた


節目。
節目っていろいろ考えますよね。
20歳の成人式には、「あれ、20歳ってもっと大人だと思ってた」と。
30歳で母親になり、「自分も、人を育てる年になったんだな」と。
40歳で人生折り返し、「もらった経験を、次の人に回していこう」。
そんなふうに思いました。

さて先日、2分の1成人式を迎える子どもたちにお話しする機会をいただきました。
10歳という節目の年に「自分の命について考えてほしい」との先生の意向で。
当日、100数名分のキラキラした瞳が私を見つめました。

「さて問題です、赤ちゃんが生まれてすぐ、初めてすることは何でしょう。
1、おしっこ 2、呼吸 3、自己紹介」
「えー!赤ちゃんが自己紹介?」
話は、そんな笑い声で幕を開けました。

「産声って知ってる?
産声は赤ちゃんが息をした証拠、これから生きていける証なんです。
だからお母さんは、あなたが生まれた時に祈りました。
息をして、息をして!お願い。泣いて!
そうして、泣くと、『ああ、よかった』って安心したんですよ」
産声テープを聞く顔は、真剣そのもの。
最初の表情とは、全く違っていました。

赤ちゃんを迎える間、家族は何をして、どんな思いで過ごしたのか。
生まれてくるのは当たり前じゃなくて、おなかの中で亡くなってしまう命もあること。

だから生まれてきたあなたは、それだけで奇跡の存在、宝物だということ。
どの子も、時に「あはは」と声を上げ、時に神妙な顔つきでメモを取りながら聞いていました。

こんな話をした後に思うのは、「心に届いたかな?」「何が残ったかな」ということです。
そんな折、先生から、子どもたちの感想文が送られてきました。

「今ふつうに生きていることがふつうではなく、とてもしあわせなんだなと思いました」
「今までお母さんに、悪口などを言っていました。でも悪口言ってごめんね、生んでくれて本当にありがとうと思いました」

「私は一人っ子でずっと兄弟がほしいと思っていました。若松さんが『おなかにいても見えなくても、赤ちゃんは幸せの種』と言いました。私はその時『自分が生まれただけでキセキなんだ』と思い、すっきりしました」

「お母さんによく、無事に生まれて来てくれてありがとうと言われます。今まで意味がわかりませんでしたが、お話を聞いてわかりました」
「私はたまに、自分なんかいらない、生まれてこなきゃよかったと思う時がありました。でも今日のお話を聞いて、命を大切にしていきたいです」

そうです、みんなが大切な命、大切な一人ひとりです。
だから誰もが、自分に誇りを持ってほしい。
自信を持って生きてほしい。
それが私の願いです。
それが一番伝えたいことです。

あなたは奇跡。
あなたは宝物。
そう、これを読んでくれている、あなたも。