2015年2月

第107回
あったかシューアイス


図書館で子どもたちの本を借りるのが、いまだクセになっています。
もうだいぶ大きくなり、親が選んだ本なんてスルーされることも多いのですが。
先日も大量の本を返しにカウンターへ。
ついでにまた借りようと品定めしていると、子どもコーナーからかわいい声が。
「こんちは」
「いっぱいあんね~」
まだ舌足らずな話し方は、2歳くらいでしょうか。

すると私の目の前を、見覚えのある顔がふんわり通り過ぎました。
「るいちゃん!」
入園前に、陽だまりサロンによく来てくれていた子です。

ということは、あの声の主は弟のりょうくん?
となるとお姉ちゃんのあいちゃんと、お母さんもいるはずです。
ぱっとそちらへ目をやると、やっぱり!
パチン、りょうくんと目が合いました。

「あ、まっさん!!」
「若松さん」と呼べず「かまつさん」だったのが、マッサンの放送開始後さらに短縮しました。
ずどどーっと短い足で全速力、背中にぺとっとくっつきます。
あとから来たあいちゃんが不思議そうに言います。
「あれ~、若松さんもここに来るの?」
「うん、そうだよ」
サロンで会ったことしかないので、なんかヘンなの、みんな照れ気味。
「何借りるの?」
「う~んと~」
ひとしきりそんなやりとりをしてバイバイしました。

10分ほど経過したでしょうか。
奥の大人の本が並ぶコーナーへ移動し、あいちゃんたちが帰っていくのを遠目で見ました。
そうそう、最近肩がこるのよね~なんて健康本など眺めていると・・・。

「若松さーん」
出ていったはずの、あいちゃんです。
「これ、あげる」
見るとそれは、シュークリームのアイスでした。
「え、もらっていいの?」
「うん、あげる」
差し出した手を、思わず握りしめました。
嬉しかったのとそれから、その手があんまり小さく見えたから。

3人兄弟の一番上のあいちゃんは、もちろん体も大きくて。
サロンの赤ちゃんの間では、小学生は口も背丈も一人前だし。
それが大人の中にいると、まだほんの小さな小さな一年生なんだなあ。
そんな当たり前に、今さらながら気づいたからです。

「帰り道、わかる?」
「うん、わかるよ」
「お外に出て、車まで行ける?」
「うん、行けるよ」
「なら大丈夫だね。ありがとう、大事に食べるね」
なぜだか急に心配になって、背中が見えなくなるまで見送りました。

「うん、行った。もう大丈夫だね」
ほこほこ気分で本を借りて車の中。
冷たいはずのシューアイスが、最高にあったかく感じたひと時でした。