2017年4月

第133回
我が家の門出~娘編~

 
ドラマのような感じだろうと想像していました。
何を、って?
大事に育ててきた子どもの門出が、です。
「元気でね」と抱き合って、泣きじゃくる子どもの涙を拭いてやって。
さて、我が家の場合はいかに。
十人十色とは言いますが、こんなラストとなりました。
 
その1、ずれちゃった事件
ノンが新幹線こまちで旅立つ日。
部活が休みになった後輩や、大学の集まりに行く前の友人が駅まで来てくれました。
「ありがとう」とコアラのマーチの小袋を手渡すノン。
竿燈をバックに「はい、チーズ!」と記念写真に納まるノン。
 
そのあたりまでは笑っていたのに、改札をくぐると一気に泣き顔に。
あふれる涙をぬぐっていると。
「やばい!」
「え、なに?」
「コンタクト落ちた!」
「なんだよ、こんな時に~」
ヤモリのように這いつくばる母と弟。
 
20秒後、「ラッキー! 目のはじっこにあった」。
ふ~、人騒がせなヤツめ。
 
その2、プシュー事件
何人かが入場券を買い、さらにホームまで見送りに来てくれました。
コンタクトの一件でまた笑顔に戻り、しばし談笑。

けれどそれも長くは続きません。
出発時刻が近づき一人デッキに乗り込むと、もう顔を上げることができないのです。
 
「ほら、笑って。最後は笑って行く約束だよ」
「うん、うん」
うなずきながらもやっぱり涙は止まりません。
 
その時、一人の友人が進み出てノンの肩をつかみました。
「大丈夫!」
そう、声をかけてくれたのです。
 
プシュー。
「あ!」「え!」、一同硬直。
新幹線のドアが閉まり、新幹線はその子を乗せたまま発車したのでした。
自分が一番大丈夫じゃないじゃん!
 
おかげで門出動画のラストは、ノンではありません。
窓に張り付き、目も口もぱっか~ん開けたその子です。
 
その後入学式で東京に行った私。
帰りの新幹線に乗り遅れ、だんなに「安いチケット取った意味ないだろ」と散々怒られました。
あちゃ~、あの子を笑ったバチが当たったな。
 
そうそう、その子はどうなったかですって?
大曲まで行って、下りのこまちで帰って来ました。
「見送るつもりが、見送られた」とのこと。
 
おかげで涙が吹っ飛んだ、我が家らしい(?)門出でした。