子育て相談室-乳幼児期 2008年3月

しつけについて


 8か月の男児の父です。そろそろ「しつけ」を意識するべき時かなと考えています。しかし、妻はまだまだそんな時期ではないといいます。何歳くらいから「しつけ」を考えていけばよいのでしょうか。その時の注意点はなんでしょうか。


 「しつけ」というと「おしつけ」を連想したりして、拒否感を持つ人がいます。この「しつけ」ですが、もともとは本縫いを正確にきれいにするために、あらかじめざっと縫っておく「しつけ(糸」」が語源とされています。このしつけが本縫いではなく仮縫いという点に、意味深いものを感じています。

「仮縫い」こそ親の役目、「本縫い」は子どもが自分の力で


 人の子どもは、生きていくために自分を環境に順応させなくてはいけません。極北の地に生まれた子は、寒冷の地にあった行動様式を身につけ、熱帯の子は苛酷な暑さに耐えながら生きていく術を学びます。

 環境は自然だけではありません。習慣や宗教、文化、言語なども環境の一部です。それらは実にさまざまですが、子どもは学んでいかないと、属する社会のなかで上手く生きていけません。

 いま江戸時代の子育ての本が、静かなブームです。本の中には、江戸時代のしつけも紹介されています。その内容ですが、現代に通じるものもあれば合わないものもあります。このことはしつけの内容に、時代に関係なく共通したものと、折々の時代の価値観に左右される部分があることを教えてくれます。

親の時代と、子どもが大人になって生きていく時代は違います。


 たとえば、しつけのひとつとして「見苦しい格好をしてはいけない」と子どもに教えたとします。この「見苦しい」という感覚が親子で違ったりします。大人が「見苦しい」と決めつけ、それ以外の服装を許さないと、子どもは同世代から浮く可能性もあります。

 親は「仮縫い」、それは子どもに対して生きていく上での基本線を押さえ、教えることなのでしょう。親から教わった基本線をもとに、応用しながら本縫いするのは子ども自身の仕事だと思います。

「しつけ」には、生活全般を安定させることも含まれる


 親はいつまでもしつけを続けることはできません。自分で考え判断し、行動できるようになったならば、子どもは親のことばをしつけではなく小言や注意、叱責、おしつけと受け取るようになります。

 そうなる前に、特に幼児期が大切ですが、子どもに基本的なしつけをしておきたいものです。(しつけの具体的な内容については、湯汲著「子どもが伸びる関わりことば26」をご参照ください)

 ご相談の8ヶ月ですが、生活リズムの安定が重要な時期です。このことが健やかな成長には必要とされます。しつけというと、つい大人が言葉で注意する姿が浮かびますが、そればかりではありません。生活リズムを整えるのも立派なしつけのひとつです。そういう意味では、子どもへのしつけは乳児期から始まっているともいえます。