子育て相談室-乳幼児期 2002年3月

発 音


 子どもの発音について教えてください。1歳過ぎから心配していることです。現在は3歳。濁音がうまく発音できません。ゆっくりと発音してあげても、発音できないようです。例えば「いただきます」は『いたたま』、「じゃんけんぽん」は『けんぽ』、「おばあさん」は『おさんさ』です。病院では「大きくなれば大丈夫でしょう」「様子を見ましょう」と言われましたが今でも改善は見えません。「あ、い、う、え、お」の発音は聞きづらいのですが、この年齢では普通かと感じています。発音以外には問題は感じていませんが、幼稚園での生活も考えると心配です。


 申し訳ないのですが、実際にお会いし、幾つかの検査をしないと何ともいえません。ここでは質問をもとに考えられる、大きく分ければ三つとなる原因と対応を述べます。

 1.聴こえの問題:軽度から中度の難聴(慢性中耳炎の場合が多い)のある子は、発音に問題をもつ可能性があります。高い音だけとか低い音は聞きとりにくいという難聴もあります。

 2.口の中の問題:発音には、口唇や舌のほかさまざまな部位が関係しています。その一つの働きにでも強い不具合があれば、発音に問題が生じます。聴こえの問題も口の中の問題も、ともに対応としてはまずは検査が必要です。

 3.言語もふくめ発達の問題:3歳でこの発音ということであれば、言語発達が遅れている可能性があります。このような場合は、発達全般の状況を知る必要があります。発達に遅れのある子とともに、言葉の出始めが遅い子は発音が苦手な傾向があります。知的な遅れがなくても、不器用な子が多いAD/HD(注意欠陥・多動性障害)の子にも似たような状態が見られます。このような子の場合は、5歳くらいとなりますが、発音の訓練を受けることで、おおむね良くなっていきます。

 何はともあれ、いまの年齢では発音はあまり気にせずにどんどんしゃべらせます。発音を気にしすぎると、子どもがしゃべらなくなくなることがあるからです。なお大人は、早口ではなく、短めの言葉で話すようにします。この年齢では、3〜5語文くらいが短い文の目安です。嫌がらなければ発音を真似させ、できたならばほめるようにします。この場合、始めは真似しただけでほめるようにします。

 3歳くらいの子どもどうしでは、少し発音が違っても、音にすぐに慣れて会話ができるようになります。子どもの話すことへの意欲を失わせず、また発音を学ぶのには子ども集団が最適ともいえます。幼稚園に入るということなので、その点は安心です。ただ、「幼稚園までに間に合わせよう」と、発音の指導を重点とするような接し方は良くありません。まずは、身の回りのことなど「集団生活に必要なこと」を着実に身に付けさせましょう。

 なお小児科のお医者さんも含め、言語聴覚士(ST)ともつながりを持たれ、定期的にみてもらわれることをお勧めします。