子育て相談室-乳幼児期 2005年7月

子ども部屋は必要?


 個室はきょうだいや親子関係を希薄にすると聞きました。いま新居の設計中で5歳と3歳の子の部屋をどうするか迷っています。最初から個室にするか、本人たちが希望するときに改築できるようにするか、それとも個室は不要なのか、先生の考えを教えてください。


 共同部屋と個室のどちらが、きょうだいの発達とってよいか、これはとても難しい質問です。その理由は、きょうだいの互いの性格、性別、年齢差、家族構成など多様な要素が関係し、簡単には決められないからです。また、暮らし方には文化や考え方が色濃く影響し、単純に良しあしを判断できないからでもあります。

住まい方と文化


 たとえば、アジアでは共同部屋が一般的です。欧米はおおむね個室重視です。同じ人間なのに、住まいへの考えがまったく違います。これは、アジアの人はみんなと一緒に暮らす方が安心でき、欧米人は1人での生活様式を好むからでしょう。さらにいえば、暮らしの中で、他者とどう関わるか、それを踏まえての結果ともいえます。起居を一緒にすることは、相手のことを隅々まで知ることにつながります。個室での生活では、必要以上に他人のことを知らなくてすみます。共同型の暮らしは自他が互いに干渉しあう姿であり、個室型の生活は極力干渉しあわないスタイルです。共同か個室かは、少々大げさかもしれませんが、他者との関係がどうあるべきと思うか、親自身の考えを明確にして判断すべきことのように思います。

客間はどこにいった? 「個室」から「弧室」の集合へ


 ある建築士の先生から、最近のマンションや住宅からは「客間」が消えたと聞きました。確かに、部屋の名前に洋間とか和室はありますが客間がありません。客間がないのは、家が人を迎え入れない空間になった、それを如実に現しているともいえます。

 では他人を入れない家で、家族が親密に暮らすようになったのでしょうか。ところが、そういう実感が持てません。不用なスペースの第一にリビングルームがあげられたりします。家族が集い、団欒する場所になっていないからです。現在の家は団欒の場を喪失し、「個室」どころか「弧室」の集まりにしか過ぎないといえそうです。

引きこもりと「弧室」


 引きこもる青年にとり、「弧室」が自分を守る殻になっています。不登校の子へのカウンセリングでは、親にホームパーティをすすめたりします。家を開放することで、弧室を作らないようにしたいからです。また子どもを、他の家に泊まらせるようにも話します。 

 「暮らし」の中身は千差万別、家によって違うことを学ばせたいからです。また外泊体験は、人と同居するのに必要な知恵を学ぶのに、きっと役立つとも思います。

 共同部屋か個室かの選択だけでなしに、家の空間やその働きをどうとらえるか、それも考えながら設計されたらと思います。