子育て相談室-青年期 2008年6月

思春期は自立期


 反抗の表れだと思いますが、大人社会をばかにする言動が目立ちます。14歳の息子です。「(こんな社会だから)何をしても意味がない」といった結論に導いているようです。社会のマイナス面ばかりを吸収しているようです。親のことばには耳を傾けず、イライラをぶつけてきます。そっとしていたほうが良いのでしょうか。


 思春期は自立期です。自立とは、「自分で考えて判断し、行動できるようになること」です。自立期の前までは、親や先生、友だちの考えに従うことに、心理的抵抗があまりないとも言えます。素直だからこそ、ゼロから社会的ルールなどを学べ、また与えられた勉強にスムーズに取り組めます。自立期の前までを「安定期」と表現する人もいますが、思春期と比較すればそう思えます。

大変なのは、自分の考えを確立すること


 自立で重要なのは、「自分で考える力」です。親も含め、誰かの考えをなぞっているばかりでは、自分で考えたことにはなりません。誰かの言うままでは、自分の人生を生きたことにもなりません。

 クリニックでは、筆者は子どもから大人までの臨床を担当していますが、なかでも中学生の悩みがもっとも深刻と思うことがあります。それは、庇護され、守られて育っていた子どもが、中学生くらいから一人前の大人になることを求められだすからです。特に、自分なりの考えや価値基準を確立することが、難問中の難問となります。

 たとえば、「○○について自分の考えを述べよ」と急に言われても、そうそう簡単にオリジナルな考えが浮かぶものではありません。アメリカでは、幼いときから自分の考えをまとめ表現することが求められると聞きます。学校教育の場では、たとえ答えが間違っていても、自分なりの考えを表現できれば良し、とされるそうです。

 ところが日本では、自分の考えをまとめ表現する教育が十分ではありません。意見を言うよりも、素直に従う子のほうが高い評価を受けたりします。こういう教育の中で育った子が、自立期には自分なりの考えや意見を求められるから大変です。

極端な考えになりやすい


 自分のオリジナルな考えを生み出すのにもっとも簡単な方法は、今ある大人や社会の考え方の逆を言うことです。思考を二分法で分けたときに、「意味がある」が主流ならば、「意味がない」と言えば、自分流の考えに思えます。だから中学生の思考は極端な内容になりやすく、話を聞いた大人は「生意気」とか、ときには「不気味」に感じたりします。

考えの中身ではなく、考えようとする姿勢を評価する


 自立期の子が、自分の考えを話したときには、「バカみたい」「おかしい」「ヘンだ」といった評価を下さないようにします。考えようとする姿勢こそが大切だからです。

 話を聞きながら、「もがいているんだな」と思いやり、耳を傾けそうなときには親の意見を伝えます。正論で説教するよりも、大人は自分の中学生時代の失敗談や苦手だったことなど話しましょう。そうすれば子どもは、親を話しやすい、話がわかる相手と思う可能性が出てきます。