最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2002年5月

第8回目
大切にしたい生活リズム


 前回、 AD/HD の子は自己コントロール力が不足していると述べました。さて今回は、忘れがちな生活リズムの重要性についてふれたいと思います。

生活をコントロールできる力


 AD/HD の子の場合、走り回るとか着席できないなどの姿に目がいきがちです。このために、ちゃんと座ることなどが重要な課題となります。確かにコントロール力不足が、着席できないなどにつながっています。ただそれは、表面に現れた一現象にしか過ぎません。本当にセルフコントロール力をつけるためには、目立つ現象ばかりでなく、生活のさまざまな場面に目を向ける必要があります。たとえば、「睡眠—起床」の時間もその一つです。

 一般的には、睡眠リズムは乳児期より安定するといわれています。ところが AD/HD の子は、この睡眠リズムに問題を抱えがちです。寝つきが極端に悪い、夜間に頻繁に目を覚ます、寝起きはいつも不機嫌といった姿がしばしば見られます。そういう子どもの多いことが、いくつかの調査で確かめられてもいます。

安定させたい生活リズム

 睡眠—覚醒のリズムが不安定なために、遅刻を繰り返し、ついには「不登校」から「引きこもり」になる AD/HD の子どももいます。もちろん、起床時間だけが不登校の原因とはいえません。ただ睡眠リズムを自身でコントロールできる子になっていれば、登校もスムーズにいくはずと思います。

 睡眠不足も含め、生活リズムが不安定になると、気持ちもいらいらしやすくなります。多動な子は、ますますセルフコントロール力を弱めてしまいます。

規則正しく食事をとる習慣を


 睡眠とともに、生活リズムを安定させる柱として食事と排泄のリズムが挙げられます。快食・快眠・快便といもいいますが、この三本の柱が規則的に守れるようになってくると、一日の生活リズムも安定してきます。  

 AD/HD の子には、偏食ばかりでなく、食事の時間は不規則、食べる量もまちまちという子が少なくありません。親もぐずるとついお菓子をあげてしまい、間食も多いようです。それがエスカレートすると、家族と一緒に食事をしないという、「弧食(ひとり食べ)」状態になったりします。

一緒に活動し、学ぶために


 クスリよりも、まずは睡眠を始めとし、生活リズムを安定させることが大切です。安定した生活リズムを送ることで、落ち着きを見せる子も少なくありません。大人は、十分にこのことの大切さを認識する必要があります。

 子ども達は、まわりと同じ生活リズムを獲得することで、多くの子ども達と一緒に活動ができるようになります。活動をともにすることで、学びを盛んにし、さらに発達を推し進めていきます。