最近「子ども事情」AD/HD の理解と対応 2003年2月

第13回目
「誰が決めるのか」を教える


 多動な子達の多くは、反抗期をスムーズに乗り越えられないようです。このために反抗挑戦的な言動のほか、反抗期にしばしば見られる姿が続きます。

「反抗期」を乗り越えられない子ども達


 2歳前後ころからはじまる反抗期では、子どもの中に、「自分で…」という気持ちが高まります。この気持ちをエネルギーにして、子どもは身のまわりのことをはじめとし、さまざまなことを急速に学んでいきます。

 ただこの時期は、自分の「つもり」が最優先です。周りの状況や、相手の「つもり」など考えられません。自分と大人の「つもり」がぶつかり、また「自分で…」という強い思いが合わさって、子どもはしばしば大人の言うことが聞けなくなります。

 大人にとっては、とても扱いづらいこの反抗期ですが、重要な意味を持っています。というのも、大人に注意されたり、自分の思いが通らないという体験を通して、子どもが他の人は必ずしも自分と同じ考えではないことを学ぶからです。いわゆる、自分と他者の分離が促されます。子どもは、まわりとぶつかりながら、人の表情を読み取ることも学習します。また、「〜していい?」と人に尋ねることを覚えます。これが、相手とのコミュニケーション能力を高めていきます。

みんな同じと思い がちな多動の子ども


 多動な子ども時代を送った青年達と話をしていると、おおむね共通する心理があります。それは、「他の人と自分は同じだ」と思っていたことです。

何でも仕切ろうとする多動の子は多いのですが、相手と自分の考えが同じだと思っていれば、話し合いの必要はありません。話はとびますが、スターに多動な人が多いのも、「同じ」という気持ちがファンとの一体感を生みだすからなのかもしれません。

 この時期にいる子どもへの基本的な対応は、「自分でやりたい」気持ちは尊重しつつ、いつも自分の思いが通るわけではないことを学ばせることです。たとえば、自分で決めていいことと、大人が決定権を持つことがあることを教えていきます。

誰が決定権を持つのか


 おもちゃで遊ぶときに、何で遊ぶかは子どもが決めていいとします。ただ、「どこで」「何時まで」遊ぶかは大人が決めることにします。決定権が誰にあるのかを、さまざまな場面で整理しながら明確にしていきます。こうやっていくと、自分で何でも決めていいのではないことがわかってきます。自分と他の人は、思いや考えに違いがあることも学びます。

 最初は、思い通りにならないと子どもが激しく騒ぐかもしれません。このときに、「泣いても山は動かない」という気持ちで、大人が毅然とした態度を取り続ける必要があります。決定権のことがわかってくると子ども達は、反抗期から抜け出せ、「これでいい?」とまわりに確認を求めるようになりだします。