最近「子ども事情」part 2 2006年10月

第8回目
すぐに謝る親


 最近のお母さんは、「ごめんなさい」と子どもによく謝ります。上手に料理ができなかった、洋服の汚れが落ちていなかった、道具を用意し忘れた、などなど。

 何かと子どもに謝るお母さんが、増えてきているように思います。まるで親は、子どもに満足を与えるのが仕事のサービス業という印象さえ受けます。満足を与えられなかった、十分にサービスできなかった、だから「ごめんなさい」と親は子どもに謝るのでしょう。

 ところで「ごめんなさい」はどういうときに使うのでしょう? 欧米では体がちょっと触れただけで「アイム ソリー」「イクスキューズミー」といいます。「わざとではありません」、つまりは「悪意・他意があっての行為ではありません」を伝えているようです。

 これは、日本語の「ごめんなさい」でも同じです。「わざとではありません=ごめんなさい」の意味で使われます。もしもわざと、悪意を持っておこなったら、「ごめんなさい」では済みません。

 ちなみに、子どもが大人のような意味で「ごめんなさい」を使い出すのは4〜5歳からです。

 他の子にぶつかったときなどに、「ごめんなさい」というようになります。ここでもしも「ごめんなさい」をいわないと、「ごめんなさいといわない=わざとやった」ということで、トラブルになったりします。

 前回述べましたが、2〜3歳の子では、「大きくなりたい・自分の権限を拡大したい」という気持ちが高まります。

 その気持ちが上下で人間関係をとらえさせ、そして自分が上位に立とうします。こういう時期の子どもに、「ごめんなさい」とすぐに謝るとどういうことが起きるでしょうか。

 いうまでもなく、「謝る大人=自分より下位の存在」と誤解する可能性があります。自分よりも下位と思っている人間から注意されたり、命令されたりすると、子どもは怒る、反抗するなど、感情的な反応を示します。つまりは、素直にいうことをきけません。

 クリニックではお母さんにすぐに謝らないよう話します。子どもの理解のレベルによっては思わぬ誤解を生み、それが「発達障害を持つ子」に見せてしまうことがあるからです。