最近「子ども事情」part 2 2008年10月

第16回目
カンボジアでの支援事業に参加


 今年の夏、1週間ほどカンボジアに行きました。「カンボジアにおける地域住民による知的障害者支援」事業を行うためです。カンボジアは内戦のために、経済、社会、政治は壊滅的なダメージを受けました。世界最貧国の一つであり、知的障害に関しては現在も今後も、国による支援は期待できない状態です。

「知的障害」という概念がない


 国民の90%が住む農村地帯では、「知的障害」という考え方は薄く、「話が通じない人」「記憶ができない人」という理解の仕方をしています。乳幼児期の高熱や下痢による栄養失調は、知的障害の原因にもなります。知的障害の概念がないと、そういった症状への対応がとられず放置されることがあります。大きくなると、からかいやレイプの対象にもなります。

 知的障害への理解を促し、発生を予防するとともに、関わり方などを伝えるなど、さまざまなことを目的とする事業でした。

知的障害本人も日本から参加


 実際には、首都プノンペンから50キロほど離れた35村(全体で約18000人)を対象に、3日間にわたり、3か所で啓発セミナーや相談会を開きました。また、知的障害のある青年の村の中での生活を見学しながら、家族からの質問に答えました。

 セミナー講師や相談は、湯汲が担当しました。特色は、日本から知的障害のある本人で、夫婦でもある2人が参加したことです。ご夫婦には知的障害があるためにできないことや、生活上の不便さなどについて、自分たちの体験を話してもらいました。2人には、村人からさまざまな質問が寄せられました。

課題を共有する村人とコミュニティ


 驚いたのは水とお菓子しか出さないのに、なかには何時間も歩いてきた人も含め、毎回100人近くのセミナー参加者があったことです。本人や家族のほかに、村長さんや村の有力者、さらには村人から尊敬されている僧侶などの参加もありました。

 知的障害のために、村の生活にうまく入れない人たちの問題を、自分たちのこととし考えていると感じました。

 ひるがえってみて日本では、障害に対する地域の関心は薄く、課題意識は希薄なのが実情です。課題意識の共有がコミュニティを生み出し、確かなものにすることを学ばせてもらったカンボジアでの日々でもありました。